computational chemistry のこと

computational chemistry のことで わかったことを載せます

遺伝子組み換え治療: 糖化ウィルスを使って細胞選択的に遺伝子を入れる

化学雑誌 Angew. Chem. Int Ed の論文からです。

O.M.T. Pearceら、Angew. Chem. Int Ed. 2005, 44, 3503-3506.


題名 Glycoviruses: Chemical Glycosylaton Retarget Adenovviral Gene Transfer

遺伝子異常が原因の病気ならば、その異常遺伝子を正常遺伝に組み替えてやればいい というのが遺伝子治療です。

遺伝子治療はとても有用ですが、なかなか進展がありません。
理由として、狙った体細胞のみ に必要な遺伝子を組み込むことが難しいからです。

細胞に遺伝子を入れる際、アデノウィルス が用いられます。最も遺伝子導入率が高いウィルスだからです。
アデノウィルスの中に、導入する遺伝子を収めておきます。

しかし、そのままでは、狙った細胞のみ に遺伝子を導入することができません。私達は、異常な遺伝子を持っている細胞だけに正常遺伝子を導入したいです。
どうしたらいいでしょうか?

そこで B.G.Davisらのグループは、アデノウィルスが持っている Fiber というタンパク質のリジン残基(アミノ酸)に  を結合させました。
彼らの狙いを説明します。

Fiberは、アデノウィルスが細胞に取り付くときに働きます。
そのFiberが「糖」で修飾されてしまうと、糖が邪魔になって、Fiberの機能が発揮できません。アデノウィルスは細胞に取り付けません。

しかし、その糖と結合できるタンパク質を細胞表面に持っている細胞であれば、どうでしょうか? アデノウィルスと細胞は接触できるはずです。

実際に 糖化したアデノウィルスを、2種類の細胞(糖と結合できる細胞と、できない細胞)に作用させました。

その結果、糖と結合できる細胞のみに、アデノウィルスに入れておいた遺伝子が導入されました。

すなわち、狙った細胞のみ(ここでいう 糖と結合できる細胞のみ)に遺伝子を導入することができました

糖にも様々な種類があります。ある糖だけと結合できる細胞は まだまだ沢山存在するはずです。
Fiberに結合させる糖の種類を変えれば、その細胞だけに 遺伝子導入が行えるはずです。

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遺伝子組み換え家畜で医薬品作り

日経サイエンス 11/2006の記事です。

マサチューセッツ州にあるGTCバイオセラピューティクス社は、農場で、遺伝子組み換えヤギ を30頭を飼っている。

ヤギの乳には、血液凝固を防ぐ ヒト タンパク質の アンチトロンピン が含まれている。

一般に、培養細胞系から 薬(タンパク質を含む)を取り出すのは、コストがかかるし、量も取りづらい。
しかし、薬を作る 遺伝仕組み変え動物の飼育なら 何とかなる

すごい試みです。

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